■4ストロークエンジンの原理

4ストロークエンジンは、空気と燃料の混合気を燃焼室へ取り込み、燃焼して燃焼ガスを排出するまでの一連の動作(サイクル)が、ピストンの上昇と下降が2回ずつの合わせて4回の行程で行われる、容積型内燃機関である。1サイクルの間には、ピストンがシリンダー内を2往復してクランク軸は2回転する。

自動車やディーゼルエンジンを動力源とする鉄道車両(大型船舶は2ストロークエンジンが多い)のほとんどで用られているほか、比較的小型の航空機でも用いられる。また、発電機や揚水ポンプのような定置型の動力源、農林業で用いられる可搬型の作業機械としても広く用いられている。

ホンダ・カブ(スーパーカブ)ではこのエンジンが採用され、低燃費(50カスタムでは180km/L)と高寿命高耐久性により、日本国外にも多く知られている。

●行程

4stエンジンガソリンエンジンとして広く普及しているものはドイツのニコラス・オットーによって発明されたオットーサイクルで、燃焼のきっかけとして電気火花を利用することから火花点火機関と呼ばれることもある。1サイクル中の4つ行程は以下の通りである。

1.吸入行程: ピストンが下がり混合気(燃料を含んだ空気)をシリンダ内に吸い込む行程。

2.圧縮行程: ピストンが上死点まで上がり混合気を圧縮する行程。

3.燃焼行程: 点火プラグにより点火された混合気が燃焼し、燃焼ガスが膨張してピストンが下死点まで押し下げられる行程。

4.排気行程: 慣性によりピストンが上がり燃焼ガスをシリンダ外に押し出す行程。

 

 

 

 

●2ストロークエンジンとの比較

燃料にガソリンを用いる場合について2ストローク機関と比較すると、未燃焼成分である炭化水素や潤滑油の燃焼に伴う粒子状物質の排出量が少なく、三元触媒を用いて窒素酸化物や一酸化炭素の排出を抑制しやすい。

燃焼効率や熱効率が高く、燃費が良好である。排気の騒音が2ストローク機関より低い。爆発(作用)ストロークが下死点近くまで続いて働き、他の3ストロークをこなすための慣性装置(フライホイル)の働きも強いので、低速回転の安定性や操作性は2ストローク機関に勝る。

一方で、クランクシャフトの回転に対する燃焼行程の回数が2ストローク機関の半分になるため、同じ排気量で比較すると出力(軸トルク)が低い。吸排気バルブとその駆動機構やエンジンオイルの循環機構などのために部品点数が多く、重量や価格の面で不利である。必要な整備間隔は長くなるとしても整備には手間と費用が掛かる。

 

Update 2016/04/25  Create 2010/10/10

 

 

関連記事


■2stエンジンと代表的なバイク

2stエンジンの原理と2stエンジンを搭載した代表的なバイクについて

2st エンジン

  

このページの先頭へ